電波時計は、便利だけど取り扱いの注意が必要な訳

●昔、朝の日課と言えば振り子時計のゼンマイを巻くのを思い出す。

今ではあり得ないと思うだろうがその昔、大半の家で壁掛け時計のゼンマイを巻く作業から始まっていた。振り子時計なんかは人気のアイテムの一つだったし高価なものだった。子供達は、往々にしてその作業をしたがるのだが、許されるまではもっと長い年月が必要だった。

なぜなら、ゼンマイを最後まで巻き続けてネジを切ってしまったりして故障の原因になるほどデリケートなものだからだ。ある日、父から踏み台にのせられて

「ゼンマイを巻いて見るか」

と言われた時は、気分は大人になったと認められたような気がしていた。

そんな家の日課も「電池式の時計」が出てきてからは、朝と言えば時間が遅れてないか進んでないかを確かめたりした。もう一つ、私の家ではそのような事はなかったが多くの家庭では、5分間進めていた。

時間に几帳面な人だと思うかも知れないが、そんな事はなくて待ち合わせの時間や出勤時間に余裕を持っていたい日本人の特質のように多くの家が実践していた。

なぜそんな事を記憶しているかと言うと、クラスの友達どうしの会話の中にも

「五分進んでいるから、今は(午後)4時過ぎだ」

と言ったような時間管理をしていたからだ。

●正確な時間を知りたいへの変化がさらに。

70年代にはクォーツ時計が猛威を振るい、1ヶ月くらいでは時間は狂わなくなってきた。それとともない、機械式のネジ巻き式や自動巻きを含めて世界の時計メーカーが苦境に入ったとも言われている。

水晶発振子の使用で、コストが落ちていき身近なものにもどんどんクォーツが使われるようになった。時計にとって正確な時間を刻む事は当たり前のようになってきた。


この頃から高い時計も安い時計もメカは同じという言われ方をしていた。

そのため、海外の手仕事で作られる腕時計や機械式のアンティークの時計にブランドの価値を求めるようになった。そうなって見ると、時計は時間を正確に知るのではなくファッションアイテムやステイタスシンボルなどの違ったジャンルへ移行したのかもしれない。

●月差との戦い

クォーツ技術により低価格で正確な運針をするようになった時計は、月差数秒を埋めるように電波時計の登場である。電波時計の歴史は、すでに80年には確立されていたが、実用化されるめどがたったのは、1999年6月 福島局(福島県おおたかどや山送信所)から送信されて、その受信型のモデルからだと思う。

続いて、2001年10月、九州局(佐賀県はがね山送信所)からの送信開始が始まり、関西以西が弱かった電波事情が日本全国網羅するようになった。

普及の足がかりになったのは、その二つの開局からである。

停波やメンテナンスのリンクは常時更新されている。電池交換や時間が合わない時はチェックしておこう。

福島局(福島県おおたかどや山送信所)

福島局(福島県おおたかどや山送信所)

九州局(佐賀県はがね山送信所)

九州局(佐賀県はがね山送信所)

●時計の針がグルグル回ると電話が・・・

当店からのオリジナル時計は、ギフトとして宅配便で直接お届けする事が多い。そのため注文者は電波時計の認識があっても贈られた本人は、電波時計というのもの知識がないことが多かった。

ずいぶん昔(と言っても12年位前)の事であるが、1日のうちに同じ内容の電話が数件鳴った。

1件目は、電話口から完全に怒った口調である。

「こんな不良品作って送ってきて・・・」と内容が書けないくらいのお叱りの言葉である。よく聞いてみると電池を入れても時間の調整はできないし、時間は合わない、と言うものだった。

2件目は、電池を入れて異変に気づいてすぐに電話をかけてきたらしい。

その電話口の言葉からは、パニックにおちいっているようにも聞こえる。

「電池を入れたらグルグル針が回って止まったり、動いたりするので何度も電池入れているけどいつも同じで時間が合わない」
ケータイを持った声は震えているのがわかる。

先に2件目のクレームからお話しよう。

私が電話を替わったのは、5分以上すぎてから当店スタッフからの救援であった。

  • 電話を代わると「時間が今の時間にならない」のが問題らしい事を理解する。

そこまでの声はまだ震えている。

  • まず、電池を装填したら三本すべての針がグルグル動き出すのは正常ですと理解してもらう。

そこまで話すと少しだけ落ち着いた口調になってきた。

  • すぐに時間が合わないのは、電波時計が、電波を受信するため探す時間が必要ですよ、と話して見る。

ここまでくると、今まで見ていなかった時計本体を注視することができる。

「秒針は動いていますか?」と言うと動いていると言う。

当店スタッフも、最初のうちに窓際できれば東の窓(そのときは、関東の人だったので福島局が近い)に置いてほしい、と言っていた。

そんな話は全く耳に入ってこなかったらしい。

私と話していた15分間で、時間はぴったりと合い時間を刻み始めた。

受信電波をつかむのが早くてかなり条件のよい場所にお住まいなのだろう。通常3時間くらいしないと時間が合わない事がある。

「今度は1年後くらいに電池交換の時ですが、同じように時間をおいて待って見てください」と伝えて電話を切った。

1件目のお客様は不良品と言ってガンとして聞き入れない。

そこで、時計メーカーからあらためて電話を入れて設定方法を伝えるというと、これから出かけるから、時間はあらためて電話をかけ直すという。

仕方がないので、こちらからは電池を入れたままにしてほしいと伝えておいた。そのことさえも怒った口調は、静まっていなかった。

数時間後に、電話があった。
幾分、穏やかな口調になった。お子さんからのお祝いの時計だったこともあるだろう。

「メーカーから電話入れさせますが・・・」

「娘が来て見てもらったら、時間がちゃんと合ったわ!」と言いつつ設定の方法がわからないので、メーカーから電話をもらいたいという。

翌日メーカーから内容の連絡があった。すでに時間は合っていたが、電池を入れるとグルグル回るし、突然止まったままになる。いつまでたっても時間が合わないし時間を合わせるリューズがないのは不良品だと思った、と言うことだった。

このような事は以前に比べると減っては来ていますが、相変わらず時間設定がうまくいかない場合が多いです。

●時間は正確に動くが秒針が止まる。

時計としては正確なのだが秒針が止まるのと、4ヶ月位すると時間も遅れる。そんな不具合の連絡が入った。

秒針が止まる症状が出るのは、電池の交換サインを促す意味で起こることはあるが、電池は取り替えたばかりでその症状がでると言う。もう一つ時間が遅れ出すというのもマンガン電池の容量が徐々に減っていく時に似ている。

アルカリ電池を使用している場合は、一定の容量を保った後に一気に0に近づくので、電波時計の場合には、秒針を止めた後、その他の長針と短針も数日間で止まる。

すでに、一年以上使用して、新しい電池の交換をしたものらしい。

修理の依頼なのだが、話の中ではどうも腑に落ちない。ムーブメントのトラブルにしては、運針の正確性が残っている。

この時計も娘さんがご両親へ贈ったもので、後日娘さんの方から修理の依頼をしてきた。

送られて来た時計を見て唖然とした。

説明書には書かれているのだが、充電電池が入っていた。電池が入っていても秒針が止まるのを再現するために装着状態で送ってくれたようだ。

通常の電池は1.5Vの起電力がある。充電電池は1.2Vとなっている。

一応、原因はわかったのだが工場の方で再テストすることにした。

通常の電池を入れると正常に運針する事が判明した。電波の受信の問題がないことも確認できたが長期検証用にムーブメントを新品に交換し新しい乾電池を入れて返送した。

また、ほとんどの乾電池仕様の電波時計は、アルカリ電池を使うようになっているが大量に持っているので、「マンガン電池」を使う・・・気づかずに装着してしまうことも時間合わせの原因になることもある。

注意書きとして、充電地は1.2Vしかなく、通常の乾電池の使用をお願いした。

弊社の姉妹WEB「サイエンストイ研究サイトbyスターキッズ」にて、『科学玩具で使う「乾電池」の豆知識』で詳しく説明をしている。

サイエンストイbyスターキッズ 科学玩具で学ぶ!遊ぶ!情報サイト

サイエンストイbyスターキッズ 科学玩具で学ぶ!遊ぶ!情報サイト

電池の規格は、以下の表が参考になる。

アルカリ電池は「L」、円形筒型は「R」

アルカリ電池は「L」、円形筒型は「R」

これに市販の電池をあてはめて見ると、単三アルカリ電池の場合は、LR6と表示されます。

この番号「6」は何かというと、

国際規格(IEC)に遵守している表示です。

国際規格(IEC)に遵守している表示です。

この表に従うと単二乾電池の場合は「14」となるはずですが、

L:アルカリ、R:円形、14:単二、というが分かります。

L:アルカリ、R:円形、14:単二、というが分かります。

電波時計の運針には、大きな役割をしている「アルカリ乾電池」です。ペンデュラム(振り子)付きの電波掛け時計の場合は、振り子用が別の電池の仕様になっていることがあります。その場合は、振り子の部分は、マンガン電池を指定している時計が多いです。

たかが電池ですが、修理に持ち込まれる時計で電池の誤使用が多いのも事実です。

電波時計の購入時や取り扱いの注意をまとめると

初めて、電波時計を購入および貰った場合、よく説明書を見て読んでほしい。それだけでスムーズに運針をしてくれる事が多い。

●どうしても時間が合わない

実際、電波時計の基地局は停波することがある。台風が通過したり、気象変動にも左右されやすい。東北の震災後は多くの方から電池交換したら時間が合わなくなったと連絡をおいただいた。

当時、停波が長く続いていた影響もあった。そのような理由がはっきりした状況なら答えられるのだが、なかなか本当の原因がつかめないのが現状だ。機械のトラブルで時間が合わないのは、年1件ぐらい。

初期段階で戻ってくるものは、ほとんどが正常なものである。それでも、時間が合わないと言ってくる事がある。

その一例として、

1,エアコンの室外機

時計を取り付けている壁面の外にちょうどエアコンの室外機が置いてある場合は、初期の時間を合わせられなかった。

2,高圧線が近くにある

高圧線との距離はあるのだが、ちょうど電波の受信方向に伸びていてキャッチしにくい状況になっていた。そこで、外出時を使って車で離れた場所で1時間くらい放置していたら時刻だ合った。

3,窓がない地下の店

常に受信できない状態なため、月の1分ほど進むらしく半月で5分~6分も狂うと問い合わせがあった。基本的なムーブメントのクォーツ性能に依存して時刻の修正ができない状態である事を説明する。
同時に、時間を常に合わせようと電池のパワーを使うので電池の持ちが短くなる。

4,ワイヤー入りのガラスの窓

時計の受信に全く問題のないところが多いのだが、たまにガラスにワイヤーなどが入っている家などでは、受信しにくい状態だ続く。通常15分~30分で正常な時間で運針を始めるが、1日くらいかかったりすることもある。夜寝て朝起きたら時間が合っていた。

奇想天外な話もあるのだけれど

まだまだ、時間合わせではいろいろな問い合わせや奇想天外な話もあるのだけれど、電波時計の認識がまだ広く普及していないとも思える訳です。

電波時計のエピソードの最後に、こんな面白い問い合わせがありました。

「電波時計なんだから時間は狂わないよね」とお客様。

「比較的クォーツ時計よりも時間の狂いを電波で修正しますから狂いは少ないです」と答えるスタッフ。

「じゃ、ずっと狂わないと言うことか」と話しながら自問自答しているお客様。

「ええ、ほとんど時間は正確ですよ・・・一年くらいで電池が消耗しますので取り替え時期になると遅れたりします」

「あれ?電波時計って一生狂わないじゃなかったか!」と驚きの様子。

スタッフは、どう答えていいのか四苦八苦している。

『電波時計が永久機関とでも思っているのかなぁ???』

「電波飛んでくるから、いつも動いているんじゃないの?」

と言ってくる。

フト、理解ができた。

電波時計「ソーラー充電時計」が一緒になっているようだ。スタッフも気を遣って「太陽光を使った充電機能はついていないので、電池の交換がどうしても1年くらいに一回実施していただくことになります。」

こんな素っ気ない言い方ではないが、思い違いを納得していただいたようだ。

腕時計の中には、文字盤がソーラーになっていて電波時計の機能がついたものもあるので勘違いがおきても仕方がない・・・。

時間が正確な時計の未来は明るい、そう思う。

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